単行本未収録部分あらすじ その8
（第３部 夕日の恋人）
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「夕日はあしたの朝日」の大ヒットで一躍トップアイドルとなった真理、彼女の成功を喜びながらも、征二たちの胸にはその姿をブラウン管を通してしか見る事ができなくなった寂しさもあった。真理は殺人的なスケジュールの合間をぬって元朱紋組の家族のもとを訪れていた。彼女は相変わらず元朱紋組の家族に仕送りを続けていたのだ。それを物陰から見てほくそ笑む謎の追跡者。
真理の歌声は苦難な青春を送る若者達の心を掴み、人気は登り続けた。その清純なイメージはケーシー高峰の心も奪う程であった。一方、謎の追跡者は行動を起こしつつあった。謎の追跡者はゴシップ記事を取り扱う週刊誌「週刊ブラック」の編集部を訪れた。その編集長に真理が朱紋組総長天地政五郎の娘であることを告げる。にわかには信じようとはしない編集長であったが、謎の追跡者は自分の正体を編集長に明かし、それによって確信を得た編集長は事実を誌面に掲載してしまう。
その週刊誌の発売日は真理のコンサート当日であった。チケットを手に入れた征二たちもその会場の客席にいた。コンサートが始まってすぐ週刊ブラックの記事を読んだ一部の客たちが騒ぎ出した。自分達の青春のシンボルがヤクザの娘と知って裏切られた思いになり騒ぎは会場全体に広まった。その思いは怒りに変わり、ステージ上の真理目掛けて物が投げ付けられる。とうとうステージの上で土下座をして自分がヤクザの組長の娘であることを告白する真理。しかし怒りに駆られら観客はそれを許さず物を投げ続ける。たまりかねた征二たちはステージ上にあがり弁明を始める。真理は確かに朱紋組総長の娘であるが、実の娘ではなく、むしろその呪われた運命に抗して生きて来たことを告げる。しかし、彼等の必死の弁明もパニック状態になった客達に逆に火をつけるだけであった。
ひとまず控え室に避難した真理と征二達。今までの成功が無に帰し絶望に暮れる真理。征二と馬場は今回の事件の元凶となった週刊ブラックの編集部に押し入る。編集部員に詰め寄る征二と馬場。そのとき謎の追跡者が二人の前に姿を現した。
謎の追跡者はついにその正体を二人の前で告げる。その正体は朱紋組の殴り込みで殺された黒崎の息子、黒崎竜介であった。彼は父の死後、黒崎組の後を継ごうとしたのだが、父が生前に行った行為がヤクザ社会でもひんしゅくを買い、襲名式も無視され子分達も彼の元を離れていったのだ。このことで真理を逆恨みした竜介は彼女を付け狙っていたのだ。
逆上して竜介に反撃し、編集部内で大暴れをする征二と馬場。たまらず編集部は警察に通報。征二と馬場は警察に逮捕される。
留置所に捕われた二人の前に真理が面会に現れた。事実が公になった真理はレコード会社から契約を破棄されたのだ。絶望に沈む三人。しかし、真理を守るため、立ち上がる人々もいた。それは真理の元クラスメートや元朱紋組の家族達であった。彼等は街でビラをくばり、またテレビにも積極的に出演し、真理が今まで歩んで来た苦難な生き方を世間に訴える。その事実が明らかにされたことで、真理の人気は再び上昇、レコード会社との契約も元に戻ることになった。また、黒崎竜介が過去起こした傷害事件も警察の手によって明らかになり、征二達も釈放される。しかしその最中、真理は突然芸能界からの引退を宣言するのであった。
引退コンサートが行われ、真理はブラウン管の中からも消えて行った。もはや彼女の姿を見る事すらできなくなり、沈み込む征二達。そんなある日、征二達のクラスに一人の転校生が現れた。真理であった。特別に復学を認められた彼女は再び元のクラスに戻ってきたのだ。
ひさしぶりに真理を囲んで下校する征二、馬場、芳村。そこで彼等は真理の現在を知る。真理は芸能生活で得た印税で元朱紋組の家族とともにスーパーマーケット「スーパーマリ」を開店していたのだ。三人に明日学校での再会を約束して店の中に入っていく真理。彼女は新しい生き方を始めていた。その前向きな生き方に感動する征二達。
彼女の生き方はまさに「夕日はあしたの朝日」であった。自然とその歌を口にする三人。その歌声は夕焼けの空にこだましていた・・・・・・・・・・・・。
第3部：夕日の恋人
−完ー
朝日の恋人
〜完結〜
