単行本未収録部分あらすじ その6
（第2部 太陽の恋人）
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ナイトクラブ「魔王」の悪夢のような事件の後、征二の前から別れるように姿を消した真理。後日、それは決定的なこととなってしまった。真理から学校へ退学届けが送られて来たのだ。彼女との不幸な別れに悲観に暮れる不破先生とクラスメート一同。とりわけ征二、馬場、芳村の3人の落ち込み様はひどかった。真理を追うにも一切手がかりは無くなっていた。
そんなある日、征二のもとに真理から荷物が送られて来た。どこから発送されたかは書かれていなかったが、真理の行き先の手がかりを期待して征二は荷をほどく。荷物の中身は、あの夜の黒崎一派のリンチでセーラー服がズタズタになった真理に着せかけた征二の学生服の上着であった。そしてそれには手紙が添えられていた。「ありがとう」と一言だけ書かれたその手紙に涙する征二。
真理がいなくなって落ち込んだ日々を過ごす3人だったが、そんなある日、征二は真理を探し出す手がかりを思い付く。征二の前から姿を消す直前真理は、これから自分の人生は、刑務所に入る元朱紋組組員の残された家族へのつぐないのためにあると言っていたのを思い出したのだ。だとすれば、真理はそのつぐないのために残された家族と連絡をとるはず。わずかな期待を胸に征二たち3人は元朱紋組の家族を訪ねて回る。
はたして、元朱紋組の家族には真理から連絡があった。少額ではあるが、生活の足しにと金を送って来ていたのだ。ただし封には住所は記載されておらず、神戸の消印がおされていた。何件かの留守宅を訪ね歩いた3人だったが、どこの家にも真理の神戸からの送金があった。しかし、その送金に対する留守家族の態度は様々であった。血桜の源さんの奥さんは真理の身の上を案じ、送金してもらった金には手を付けていなかった。また、夫がいなくなったことで、送金を酒代にする妻もいた。そしてまた、気掛かりなことがわかった。どこの留守宅にもある男が現れ、真理の行き先についてしつこく嫌な態度で聞き回っていたのだ。その謎の追跡者不安を感じる征二。
三日間歩き回って、得た情報はそれだけであった。夜の公園のブランコで話し合う3人。しかし、手がかりが神戸と言うだけではどうしようもなかった。そのとき、征二は背後に人の気配を感じる。それが、謎の追跡者のものであると直感する征二。征二はブランコの反動を利用してその気配めがけて飛びかかる。果たしてそれは謎の追跡者であった。しかし、サングラスとマスクで顔はわからなかった。その男はのしかかった征二を投げ飛ばすと、投げナイフを構え、馬場のベルトのバックルに突き刺した。驚くべきナイフ投げの腕前であった。それにもひるまず追跡者に向かっていく征二。その征二に対してナイフを投げ付ける謎の追跡者。間一髪、それをかわす征二、だが眉間をかすめたナイフは征二の皮膚を裂き、傷口から流れ出る血が目に流れ込み視力を奪ってしまう。ナイフを避けたつもりの征二だったが、それも追跡者の計算のうちだったのだ。そのナイフ投げの腕の前にひるむ3人。追跡者は高笑いを残すとその場から去っていた。謎の追跡者は神戸に向かうと言う。そして追跡者のナイフが真理を狙っているのは確実であった。
2学期の終業式が迫ったある夜更け、征二は両親へ書置を残して家出した。真理を求め神戸へと向かうために。神戸へ向かう列車の中で征二は自問自答した。「愛する人のために死ねるか？」この質問にイエスと答えてこそまことの愛ではないかと。
今、それを信念と徹した征二を乗せた列車は、真理がいる神戸へと向かって行った。
第2部：太陽の恋人
-完-
