黒崎組に囚われ、ナイトクラブ「魔王」の地下室に監禁された真理、手枷に両腕を吊られ身動きできない彼女の背中に黒崎組は容赦なくムチを振るう。その苦痛にもがき苦しむ真理の悲鳴が地下室に響く。さらにムチの一撃ごとに彼女の衣服はズタズタに引き裂かれていく。追い討ちを駆けるように黒崎組の面々は口汚い言葉を真理に浴びせかける。過酷な責めに必死に耐えようとする真理だったが、容赦ない非情の暴力の一撃ごとにその悲鳴は激しさを増していく。セーラー服、そして下着までちぎれ飛び、ついにむき出しとなった真理の背中をムチが直撃、素肌が裂け鮮血が飛び散り、それまで以上に悲痛な真理の悲鳴が地下室に響く。
ムチ打つ場所を背中からスカートに変えようと言う黒崎の子分、その言葉は彼女の胸をえぐった。まだ少女である真理にとって衣服を引き裂かれ肌を露わにされることは、ムチの苦痛よりも耐え難い地獄なのだ。思わず亡き政五郎に助けを求める真理。だが黒崎組の面々はそんな彼女の言葉すら笑いものにする。さすがの真理もこの生き地獄に耐えかね、黒崎に殺すならばせめて楽に殺してほしいと哀願する。それに対して黒崎はある条件を真理が飲めばリンチを中止し望み通り楽に殺してやろうと答える。この地獄から解放されるには、もはや「死」のみ、黒崎にどんな条件でも飲むと一度は言ってしまう真理。
黒崎は子分にさきほどの掃除婦の老婆を地下室につれてこさせる。
「その条件とは、お前自身の口からわしの子分たちに、自分のかわりにこの掃除婦ばあさんをムチ打ってほしいとたのむこっちゃ！その一言だけ言えばただちに子分どもにその手のクサリをはずさせるわい！」
老婆の出現で命拾いした黒崎であったが、老婆を自爆に巻き込むことができずなぶり殺しにされると知っていながらダイナマイトを手放した真理の天使のごとき行動がなにより許せなかったのだ。ここで真理が老婆を身替わりにすれば先ほどの天使のごとき行動もなかったと同じ、命惜しさに土下座をした自分と同じになる。
心を弄ぶその悪魔の条件に、真理は困惑するが、黒崎に返答を詰め寄られその条件をきっぱりと拒絶する。
「言いません。あんなにお年寄りのおばあさんを恐ろしいムチで打ったらたちまち死んでしまうでしょう。私には言えません。」
この期に及んでまだ純愛天使気取りをするのかと怒鳴り付ける黒崎。
「気取ってなどいません。わたしはよくよく骨のズイからそういう生まれつきなんです。むしろ自分でも困ってしまうほど・・・」
この真理の言葉は黒崎組の怒りを増大させてしまう。声を荒げリンチの続行を子分に命じる黒崎。しかし掃除婦の老婆だけは地獄の地下室に本当の天使の姿を見た。
再び非情のムチが真理の身体を舞う。真理はさらに過酷な責めに耐えなければならなかった。
一方、征二とその父は、真理が乗っていたタクシーの会社からようやくその居所をつきとめていた。夜半過ぎに「魔王」に到着する二人。二人が店の中の様子を伺おうとしたその時、大型トラックが店の前で停車し、荷台から武器を手にした何人もの男達が飛び下りて来た。元朱紋組組員の殴り込みであった。真理の恐れていた通り元組員達は黒崎への復讐を計画していた。その一方で真理の性格も知っている彼等は真理に尾行をつけさせており、その尾行からの連絡で店に急行したのであった。荒々しく店の中になだれ込む元組員たち。征二もその後に続く。
元組員たちと征二は店の中を真理の姿を捜し求める。ついに地下室に行き着いた彼等が見たものは、黒崎組にさんざんムチ打たれ、裂けた衣服から露わになった肌には無数のムチの痕が刻まれた真理の姿であった。元組員たちと同じように愛しき人の無惨な姿に怒りの血が逆流する征二。突然の襲撃に驚いて立ち尽くす黒崎組と元朱紋組がにらみ合う一瞬、真理は傷付いた身体から、元朱紋組組員に思いとどまるようにかすれた声で必死に呼び掛ける。しかし、怒りに駆られた彼等を止めることは出来なかった。彼等はいっせいに黒崎組に襲い掛かり、地下室は修羅場と化した。ひとりひとり倒されて行く黒崎組の面々。その中、征二は真理を救出、ズタズタになったセーラー服の上に自分の学生服の上着を着せかけた。
次々に子分が倒され、黒崎も元朱紋組の組員の一人〜かつて政五郎の右腕と言われた通称「血桜の源さん」〜に追い詰められた。刃を喉元に突き付けられ必死に命乞いをする黒崎。真理は源さんに向かって思いとどまるよう必死に説得する。その言葉に込められた真理のやさしさに源さんは笑みを浮かべると、黒崎の喉を斬り裂いた。絶命する黒崎。
やがて、騒ぎを聞き付け警官隊が到着。目的を達した元朱紋組組員たちは武器を捨ておとなしく逮捕されて行った。最悪の事態が起きてしまったことに泣き崩れる真理。なんとか元気ずけようと慰めの声をかける征二に真理は、これからの自分の人生は刑務所に入る元組員の家族の償いのためにあるとつぶやく。
ふと、征二が見上げた台風一過の空に虹が浮かんだ。その虹に征二が目を奪われた一瞬、真理は再び征二の前から姿を消してしまった・・・・・・・・・・。
