征二と真理はそのまま、馬場がアルバイトをしている軽井沢のホテルで共に住み込みのアルバイトをすることになった。馬場はボイラーマン、真理はプールの監視員、征二はレストランのボーイであった。
そんなある日、ホテルのプールで女性客にいかがわしい行いをするチカングループが現れた。監視員の真理はそのうち一人を捕まえる。チカングループがそれを見てプールサイドで暴れ出したところを、征二と馬場が加勢に出てこれを撃退、チカングループは捨て台詞を残して退却した。
数日後、アルバイトが終わった夜、浴衣姿で線香花火を楽しむ三人は、チカングループの復讐に襲われた。ナイフで脅され林の中に連れ込まれる三人。チカングループは征二と馬場を木に縛り付け、二人の前で真理を辱めようとする。真理の浴衣を引き剥がそうとするチカングループ、しかし花火を使った真理の機転で形勢は逆転、自由になった征二と馬場は反攻に転じ、チカングループを叩きのめす。そこへ騒ぎを聞き付けた警察が到着。チカングループはかねがね各地で悪行を尽くしていた問題の集団であった。
この一件で、三人は警視総監賞を貰い受けることになる。夏休みが明けて二学期の始業式、全校生徒の前で賞状をもらう三人。学校の名誉となることに浮かれる校長先生だが、馬場はその場でバレーボール決勝戦での行いを謝罪し、夏休み前に真理がとった行動は自分をかばうためのものであったことを告白する。その告白に対して真理は自分の気持ちを芥川竜之介の短編小説「ある日の大石蔵之介」に例えて語った。馬場をかばうために演じた悪役であったが、幼い頃からヤクザの家に育ち、それにつぐなうためいい子であろうと窮屈に生きてきた自分は、悪役を演じてきた数日間ノビノビとして解放され幸せさえ感じていたと語り、南条たちにも謝罪の言葉を述べた。
そして、「人間とは善には必ず悪がつきまとい、完全な善がないかわりに完全な悪もない」としめくくった。
その真理の言葉を聞いて不破先生、征二、馬場も、真理を自分の生徒に、同級生に、そして初恋の人としたことを誇りと感じた。
学校のそばの港から船の汽笛が鳴った。それは新たなる第2学期の船出を告げる汽笛であった。
