昭和48年2月10日初版
朝日の恋人特集 表紙へ
年が明けて正月、真理の屋敷でカルタ取りを楽しむ征二たち。その団らんの席に突如位牌が投げ込まれた。位牌を投げ込んだ男は、伊達竜次。彼の父親は朱紋組の幹部であったが、敵対する組織との抗争で命を落としていた。そのため彼は暴力の道に走り少年院に入るに至ってしまった。しかも、少年院を出てみると朱紋組は真理の願いを聞き入れた天地政五郎の意志で解散していた。父親が命をかけた朱紋組を失い、彼の怒りと恨みは真理に向けられた。投げ込んだ位牌は死んだ父親の物であり、真理への宣戦布告でもあった。
冬休みが終わり３学期が始まると、伊達は港高校の征二達のクラスにに編入してきた。意外な転校生に驚く征二たち。伊達の真理への復讐が始まった。彼は真理に直接手を出すことはなく、真理の周りの人間を襲い始めた。まず、体育の時間に行われた相撲で対戦相手になった馬場を骨折させた。そのことで報復に出た柔道部員を一瞬の間にたたき伏せる。伊達のケンカの腕前を見た征二はその切れ味に驚嘆する。柔道部がやられたことで、他の運動部も伊達に挑んで行くが次々とその前に倒されていった。
たまりかねた真理は復讐をするのなら、自分自身を痛めつけてほしいと伊達に哀願する。その言葉に対して伊達は制服のスカート姿で逆立ちをするように要求する。若い娘にとっては余りにも残虐な要求にうろたえる真理。しかし、その言葉を物陰から聞いていた芳村が怒り余って伊達に突進していき逆に伊達にとらわれてしまったこともあり、征二が止めるのも聞かず真理は辱めを甘んじて受け入れた。
このことで怒りが頂点に達した征二は伊達に深夜の波止場で１対１の決闘を挑む。その夜、決闘の場で対峙する征二に、伊達はこの決闘のことを、時間を遅らせて真理に知らせたと言った。倒された征二を見せて、真理にさらに破廉恥な要求をしようと言うのだ。逆上し伊達に突っ込んで行く征二。しかし喧嘩の腕前の差は歴然としており、征二は完膚無きまでに痛めつけられる。もはや伊達の計画通り事が進んでしまうのかと思ったとき、思わぬ助っ人が現れた。物陰から機会をうかがっていた野球部の紫の放つ石つぶてが形勢を逆転した。野球で鍛えたスピードとコントロールをして放たれる石つぶてには流石の伊達も手も足も出ない。
だが、その石つぶての嵐から身を挺して伊達をかばう人物が現れた。真理であった。が、怒りおさまらぬ伊達はその真理の身を払いのける。その伊達に対して真理はたった一度の反撃として、自分の身の上を話し出した。
実は真理は天地政五郎の実の娘ではなかった。本当の両親は真理が赤ん坊のころ、朱紋組と敵対する組織の抗争に巻き込まれ命を失っていたのだ。政五郎はそのことを気に病み子供に恵まれない事もあって真理を養女として育てたのだ。真理がそのことを知ったのは中学生の時であったが、彼女はそのことは誰にも話さず、ヤクザの娘として世間から疎まれながらも生きてきたのだ。
自分以上に過酷な運命を背負い生きてきた真理の身の上を知り、伊達は衝撃を受ける。やがて彼は学園を去り、そして自衛隊に入隊した。遠くから誰かを守るために……。
平和が戻った学園に、新たな転校生が現れた。南条夕美という征二達よりひとつ上級の美少女であった。ただし、真理とは性格は反対で自由豪放、女王様的な性格で校内にたちまち取り巻の男子を作った。と、同時に反対の性格を持つ真理に一方的に敵対意識を持つ。
征二が真理に思いを寄せていることを知ると、ある日曜日征二をドライブに誘い出し、二人でいる姿を真理の前に見せる。思わぬ展開に焦る征二。
翌日、征二が登校してみると、校内はよからぬ噂で満ちていた。