昭和48年3月30日初版
朝日の恋人特集 表紙へ
やがて春が来て、征二達は２年生に進学した。かねてより南条と真理の運動神経に着目していた不破先生は二人を核にした女子バレー部を結成する。その一方で女子バレー部のきたえ役として征二を中心として秘密裏に男子バレー部を結成する。真理の適役となってしまうことでとまどう征二だが結局は不破先生の口車にのせられ、しぶしぶこれを承諾する。
女子バレー部が力をつけてきたころ練習試合をするということで、町外れのグランドで秘密の特訓を開始する征二達男子バレー部。そんな時、征二は芳村から妙な話を聞く。女子バレー部では真理がみんなより２時間早く練習を切り上げて帰宅していること、また最初真理がいることで入部を拒否していた南条がそのことを知って入部をOKしたと言うのだ。
不審に思った征二は下校していく真理を尾行してしまう。そこで征二が見たものは、ホームヘルパーとして寝たきり老人の世話をする真理の姿だった。事実を知り衝撃を受ける征二だったが、同時にさすがの真理も練習不足から他の女子バレー部員と実力の差が生まれていうことに気付く。意を決して征二は真理に男子バレー部の存在を知らせ、試合を辞退してはどうかとすすめる。だが、真理はそれを拒絶、ついに全校生徒の見守る中、男子バレー部と女子バレー部の練習試合の日を迎えた。
征二の予測していた通り、真理の実力は他の女子部員と比較して劣るものとなってしまっていた。男子の放つハイアングルストレートを真理だけが手が出ないのだ。醜態をさらす真理を冷ややかに見る南条。試合を見る生徒達からも真理への非難の声が上がり出した。だが、真理は選手交替の時間をのばしてくれるように申し出る。さらに高まる真理批判の声。
だが試合が進み、真理のサーブの順番が回ってきた。その真理から放たれたサーブは誰もが息を飲む強烈なサーブだった。男子バレー部も誰もそのサーブを打ち返せず、真理は自分のミスによって失った点数分を挽回してしまった。
その時、高校を卒業して大学に進学していた紫先輩が登場。真理が最近紫先輩の実家の踊りの道場に稽古に現れないことから彼もまた真理の身辺を探っていたのだ。紫先輩の言葉により、真理が身体が自由になった深夜河原で一人サーブの特訓をしていたことを知る一同。さらにホームヘルパーのことまで話そうとする紫先輩だったが、真理の願いによってそれ以上を話すことはしなかった。
すべてを知った征二は涙が混じったしょっぱい口笛を吹いた。